『MICK HARVEY/INTOXICATED MAN』

velvet-moon2005-03-11

ミック・ハーヴェイのソロが出るとニュースを得た時、嬉しくもいったいどんな作品なのだろう〜と。まさか、全曲セルジュ・ゲンスブールのカバー・アルバムだとは思わなかった。

全曲という辺りの心意気に真剣さを感じたものだ(続編まで作ってしまった)。ハーヴェイのヴォーカルはムーディーで素敵。でも、格別上手でもないのだけれど。でも、そこはニック・ケイヴ・ファミリーの歌姫(やや暗黒ロリータ)アニタ・レーン(レイン)がジェーン・バーキンブリジット・バルドーのパートを担当し、特にアニタのファンである私は嬉しいのだった。

だいたい、ニック・ファミリーはセルジュ・ファンなのでこの様な作品が生まれるのも不思議ではなかった。バッド・シーズから脱退してしまったブリクサもファンだし。このハーヴェイのソロの目的は、英国であまりにもこの偉大な音楽家セルジュが知られていない事が製作の大きなきっかけとなっていた様だ。そして、サウンドもさることながら、セルジュの歌詞の世界にとても魅了されていたハーヴェイは何とか英語詞で伝えるべく作り上げたものである。そんな生真面目さが好きなのだ。

想像しただけで大変な作業だと分かる。韻や複雑な歌詞をフランス語から英語へ移植する作業なのだから。その手のプロな訳でも無いので、もうこれはミック・ハーヴェイのセルジュに対する愛と敬意、そして自分との闘い(自己満足とも密かに言われたりしていたけれど)、趣味の作品...という気もする。どのくらい、この作品が売れたのか知らないけれど、当店では売れた作品の一枚だと言える。もっと、他に力を入れるともっと利益が出たのだろうが...好きな作品を売ることしか出来ないのだからそれで良かった。これからも変われない。しかし、ハーヴェイのこの作品はセルジュ好きでニック・ファミリー贔屓な私達には最高の贈り物だった。

[1995] MICK HARVEY ★ INTOXICATED MAN