『PETER HAMMILL/OVER』

velvet-moon2005-03-03

英国ロックの至宝的アーティスト!ピーター・ハミルのお声は各作品の中で常に一つの楽器と同等な響きを持つ。嘗て北村昌士氏曰く、「ピーター・ハミルが歌うのは、歌うことでしか話せない言葉があるからだ。」と。この表現は的確で実に重要に思う。そんな孤高のソングライターであり、詩人であり、表現者でもある。

VAN DER GRAFF GENERATORから今日のソロに至る数多くの作品のクオリティは、あまりにも高い。きっと、とんでもない集中力と閃きの持ち主なのだろう。ある作品はとてもアグレッシヴで息をのむ暇もない位の迫力。そして、ある作品はとても繊細な心象風景に溢れる静寂なトーンで覆われている。この1976年の「OVER」は後者に当てはまるもの。

60年代から今日まで、とても精力的に活動している御大のお一人ながら、真にプログレッシヴなアーティストだと思う。ある気分の時に無性に聴きたくなる。静と動、不安と希望の見え隠れするピーター・ハミルの作品やライヴは心臓にとても悪い。音の聞こえない時でさえ、響いてくるものがある。そんな全てが好きだからとても集中力が必要...毎日は聴けない。でも、必ず聴きたくなるのだ。

[1976] PETER HAMMILL ▲ OVER