『POPOL VUH/HOSIANNA MANTRA』

velvet-moon2005-03-02


美しすぎて涙を流す事がある。それは人の心だったり映像だったり、そして音楽だったり。このグループを知ったのはヴェルナー・ヘルツォークによる「アギーレ/神の怒り」のリバイバル上映の時。映像と音楽の見事な融合に驚愕した。そして、怪優と称され美しきナスターシャ・キンスキーの父でもあるクラウス・キンスキーの存在感にも圧倒されてしまった。

このドイツの比類無き三角関係は神懸かり的に思う。「フィツカラルド」や「ノスフェラトゥ」も映画も音楽も素晴らしい作品。ヘルツォークと親交の深かったポポル・ヴーはジャーマン・ロックを語る時に欠かせないグループの一つ。

「ジャーマン・ロック」と言っても様々な作品があり、クラフトワークとアモン・デュールの音楽性は近くはないけれど遠くもない。そして、このポポル・ヴーはそんな中間位に位置づけ出来るけれど孤高なグループだったと思う。近作でのフロリアン・フリッケのピアノはアコースティックで神秘的。ムーグやヴィオラやヴァイオリンなどの楽器達の優美なアンサンブルは、この作品のクラシカルな宗教音楽的なサウンドにすんなりと溶け込んでいる。そして、少女の様な清らかなソプラノ・ヴォイスが天から聞こえてくる様なのだ。DJONG YUNという韓国人女性によるもの。

死に至る時が訪れた時って?勿論分からないけれど、この作品の様な音楽と共に居れたなら...と思える程に崇高な作品に思えてならない。

ロリアン・フリッケもクラウス・キンスキーも、もうこの世には居られないけれど、こうして彼らの残した作品は生き続けていくのだと思うと素敵過ぎる。

[1972] POPOL VUH ★ HOSIANNA MANTRA