『ROBERT/SINE』

velvet-moon2005-03-01

アンニュイという言葉が流行した時期があったように思う。ちょうどバブルな頃。当時はよくファッション雑誌を買っていた。頻繁にこんな形容で語られる代表の様なお方にジェーン・バーキンがいた。ジェーンの声は綺麗だから好き。でも、アンニュイという私のイメージとは少し違うなぁ〜と漠然と思っていた。そう!もっとも当てはまるお方はフランソワーズ・アルディなのだ。あの翳りが好きでたまらない。

90年代に突入して出会ったこのロベール!このどんよりとした不可思議な世界に陥ってしまった。元々ウィスパー・ヴォイスに弱く、かつエレクトロな音色に反応しないはずはなかったのだから。ただ可愛いお声ではなく、私の好きな翳りがロベールにはあり、それは甘く優しく響くのだった。

今はゴシック・ロリータ(ゴスロリ)さん達がファッションを中心に増えているというか、人気だそうだ。ロリータではないけれど、私はゴシック好き。ゴシックって?とても一言では難解なので自分なりに探っているところ。ただ、太古の時代から脈々と流れ継がれている様々な美に魅了されていく内に、自然と強まっていった私なりの感情の様だ。

耽美という言葉がずっと大好き。色んな耽美があることも知った。そんな私の心の求めるものにこのロベールが居て、作品が居る。これは1STアルバムで、中にはクラフトワークのカバー曲(MODEL)も収録されている。ロベールもお気に入りのグループだそうだ。私の思春期の同世代的な大切な音楽に電子音楽は欠かせない。80年代は多種多様な音楽がいっぱいだった。下手でも奇抜なアイデア、実験精神にワクワクした。そんな中、リオやミレーヌ・ファルメール、レ・リタ・ミツコという今も大好きなアーティスト達を知った。そんな流れでロベールはすんなりと私の心をさり気なく掴んでしまったみたい。本当に不思議なロベール。内向するその繊細な感性は物悲しく響き、それらは私の心を宥めてくれるもの。


太陽がのぼるころ
すべてが輝いてみえる
いちばん深い眠りの中で
夢をみるわたし


"アンニュイな夜/LES CLICHES DE L'ENNUI" より。


[1993] ROBERT ★ SINE